滑子航空機,覚書

飛行機好きで、写真を撮ったり、プラモを作ったり。

MU-2の見たことあるやつだけのまとめ

 調べると、MU-2って微妙な型違いがかなり多いようで。

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 MU-2A。航空館BOONにて。チュルボメカ アスタゾウⅡを搭載したタイプで3機のみが製造された。

翼端タンクは小さいタイプ(2本で130USガロン)。何かのボルトと思われる(調べても何かわからなかった)が翼端灯の後ろについている。

 

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 前脚の格納扉の形状が、のちに登場する長胴型と同じような左右開きのタイプ。

次に登場するLR-1では変更されているが(1号機はそのままだったようだが)、この件は1970年5月に発行されたADが関係していると思われる。前脚ベアリングへの水かかりにより、低温下ではオレオの摩擦が増加しタイヤが脚扉と干渉するとある(おそらくオレオが正しい格納状態になってくれないとか、そういうことだとは思う)。

 また、わかりづらいがA型はエンジン懸架位置が低い。

 

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 LR-1/MU-2C。三沢航空科学館にて。陸上自衛隊で連絡機として使われていたもの。

 MU-2は、B型以降はギャレット・エアリサーチ TPE331エンジンに換装されている。とはいえ、LR-1はエンジンのタイプがよくわからない。初期はTPE331-25Aが使われていたと思われるが、最後の方はTPE331-6A-252Mになっていたのではなかろうか。

 また、5号機以降は写真の翼端タンクが大きいタイプ(2本で180USガロン)となっており、ボルトっぽいものの位置が異なる。

 

 

LR-1

 タンクの取り付け位置が少し下げられている。上反角効果を調整するためだそうで。なお、LR-1の1号機は翼端タンクなしのタイプらしい。

 

MU-2K

  MU-2B-20(F)。MU-2-10(D)からのエンジン増強型。成田の航空科学博物館にて展示されている。一部では胴体がD型から延長されたと書かれているが、三菱のHP内の資料では寸法に差がないため、詳細はよくわからない。

  エンジンはTPE331-1-151Aで、当初の-25Aエンジンから出力が増加している。

また、F/G/J/K型は与圧が5.0PSIとなっており、少しばかり快適性があがっているはず(当初は4.16PSI)。

 

MU-2L

 MU-2B-36(L)。あいち航空ミュージアムにて。いわゆる長胴型で前脚の扉が短胴型とは異なるようだ。

 

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胴体には脚収納用にバルジが設けられ、ベントラルフィンも追加されている。

 

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 見づらいが、翼端タンクにもフィンが追加されている。こちらも上反角効果の調整用。

 

MU-2S

 MU-2S。浜松広報館にて。航空自衛隊の救難捜索機。タンクは2タイプとも使われていたようで、16号機まではこちらの小さいタイプが使われていたようだ。

 

 昨年のオシュコシュでは、飛んでるMU-2が見れるかと期待していたけど、結局見当たらなかった。後々YouTubeを見てるとMU-2が飛んでいたので、来てるには来ていたみたいだけど。

 

政府専用機貴賓室@浜松広報館

 見に行ってきました。先日退役した747政府専用機の貴賓室。先行して6月から石川県立航空プラザで展示が開始していましたが、7月からは浜松広報館でも展示が始まりました。

 

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  展示場所は3階。貴賓室は747の1階の最前部に位置しており、機体外観の一部も再現されています。

 

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  セキュリティー上の関係でこれまで貴賓室が公開されることは無く、退役をもって初めて公開されることとなったわけですね(退役直後に報道公開はされていた)。最前部に位置するモニターには、運行状況等を表示していたようですが、こちらでは747政府専用機の真正面からの写真が飾られています。

 

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  左側には衛星電話を備えた執務席が設置されています。

 

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  右側には机を挟んで計4席設置されています。

 

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 写真ではわかりづらいが花菱模様(幸菱ではないかと思う。花菱を組み合わせて菱模様にしたものをそう呼ぶそうだ)のソファ。

貴賓室の展示としてはこれだけですが、近くに設置されているデジタルサイネージには、他の部屋の様子の写真が流れていました。

 

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  こちらは貴賓室の隣に再現されている記者会見席。

 

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  貴賓室とは異なる椅子が使用されていたようだ。先ほどのソファとは違う模様ではあるが、同じく幸菱模様。

 

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 記者席より。 

 

ちなみに、格納庫2階でも椅子単体で展示されている。

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 記者会見室に置かれていた椅子と同じもの。説明板には随行員用座席とある。

 

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  貴賓室に置かれていた椅子と同じもの。説明板には夫人室用座席とある。 

 

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 説明板にはクルー用座席とある。整備士や交代要員など特別航空輸送隊員が使っていたのだろう、ちょうどコクピット後ろ側に設置されていたようだ。

 

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  最後は夫人室用ソファ。ちなみに、右側に見えているのは夫人室用テーブルだ。

 

 これまで公開されることのなかった貴賓室ということもあり、非常に珍しいものではありますが、まあ、椅子ですね。

 

浜名湖、航空揺籃の地?

 1919年に陸軍がフランスから航空教育団を招聘し、様々な航空技術の取得が進められたことはよく知られているが(特に所沢/航空機製造や各務原/操縦訓練が有名か)、浜名湖ではモーリス・ファルマン水上機を使っての射撃訓練が行われていたそうで。

 

 それを記念し、1977年に新居町ライオンズクラブによってモーリス・ファルマン碑が建立された。

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  これがその名残(涙)。遠州のからっ風の犠牲になったのだ。

え、裏側には説明文があったんですか・・・。写真撮ってない。

 

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  ちなみに前にある看板は関係ない。これはこれで興味深いが。

 

ハリケーン・ハンター

 FR24を見ていたら、アメリカでWP-3Dが飛んでいたので思い出したように。

 

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 WP-3D N42RF "Kermit" アメリカ海洋大気庁

 WP-3はP-3からの改造機で、2機のみが製造された気象観測機。

気象レーダとして機首とおなかにCバンドレーダーを、機尾にはドップラーレーダーを装備し、パイロットを含め20人の乗員(フライトエンジニアから科学者まで)を乗せて飛ぶことができるそうだ。

 

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  "正面からの写真は撮り損ねているが、特徴的な胴体下のレドームが見える"

 ハリケーン・ハンターとしての任務の際には、ハリケーンの内部に侵入して観測を行うという、なかなかおっかないことをやってのける。

 胴体のレーダーは水平方向の観測を、機尾のレーダーでは垂直方向の観測を行うことで、MRIのようにハリケーンなどを層状に観測することができる。

他にも、海面温度計(放射計)やCO2大気温度計(放射計)、日射計、ドロップゾンデなどの様々な種類の観測機器を使用して様々な科学ミッションも遂行することができる。

 

 ところで、なぜ正面からの写真がないかというと、このあと目の前にいるC-5が動き出してそれどころではなかったからである。

 

民間機としての大型無人航空機。

 海上保安庁(と海上自衛隊)がご熱心なMQ-9 SkyGuardian。自衛隊はともかく、海上保安庁で入れるためには、民間登録の都合なんらかの型式証明が必要になるはず。

 

RQ-4

  "MQ-9の写真がないのでRQ-4でお茶を濁す"

 

 当然ながらMQ-9はまだ型式証明は取得しておらず、2020年の取得を目標にしているとはいうものの続報はなし。とはいえ今年の4月には、陸送の上の再組立てというこれまでの納入形態ではなく、ホローマン空軍基地まで初のフェリーフライトによる納入を行っている。このフライトではNational Airspace System(空域、空港、航法施設などを含むネットワーク。感覚的には民間機も運用されている領域という考えでいい気がする)上を飛んでおり、十分な安全性が確認されつつあることが示唆されます。

 

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 "MQ-9はアメリカ合衆国税関・国境警備局で運用されているが、Nナンバーはいらないらしい。当然写真がないので、同組織が運用しているUH-60お茶を濁す"

 

 日本で飛ばす際は現状の航空法では「無人航空機」ではなく通常の航空機扱いになると思われますが、FAAの型式証明がどういう扱いになるのかを含めて気になるところです。

 そういえば、昨今もてはやされるeVTOLこと空飛ぶクルマ。完全自動操縦を実現するには、同じようなことをしないといけないはずですね。

 

電動航空機が型式証明を取った話。

 先月、Pipistrel社がVelis Electroという電動航空機の型式証明を取得したとのニュースがでた。出落ち感はあるが、今回取得した型式証明というのはEASAのCS-LSAというもので、LSAというカテゴリーでの型式証明に過ぎない(FAAではLSAのカテゴリーはあるが、型式証明の対象カテゴリーではない)。そのため、日本で運用することは基本的にはできないということでいいはずだ。

 

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  写真は同じPipistrel社の電動航空機で、Alpha electroというもの。今回型式証明を取ったのはVelis electroという機体で、ともにVirusから発展したものである。

 なぜ、ほとんど似た機体の電動機があるのかということだが、おそらく重要になってくるのが今回の型式証明では、動力であるE-811モーターの型式も取得している点だろう。Alpha electroではPEM 60MVLCをモーターとして搭載しているが、今回は別のモーターということである。

 電動航空機の発展に対しての大きな一歩という点で言えば、このE-811を搭載すれば、エンジン(モーター)自体の型式証明は気にしなくてもよくなるということだ。ただし、離陸時の最大出力で57.6kWで約78馬力のモーターであり、一般的な単発機であるセスナ172に搭載されているエンジンO-360の半分未満の出力であることは注意したい。

 

 余談ではあるが、この機体は訓練用の飛行機というスタンスをとっており、飛行時間は50分と長距離飛行はできない(巡航速度は90kn≒166km/h)。つまるところ、バッテリーの性能は固定翼機であってもそれくらいしか飛ぶことができないものということになる。なお、バッテリー重量はAlpha electroで122kg。こちらは60分飛ばすことができるが、決して軽いとは言えない。

 

 ちなみにPipistrel社はスロベニア共和国の航空メーカーで、当初は動力付きハンググライダーやウルトラライトトライクの販売を行っていた。現在は上述の航空機だけでなく、無人航空機も手掛けている。ホームページ内の無人航空機のうたい文句がおもしろく、「Pipstrelの航空機はグライダーとして開発されたこともあり、エンジンを切った状態で、つまり対象の上空を完全に静穏で、そして赤外線の放射とレーダー反射が非常に少ない状態で多くのタスクをこなすことができる」とある。ベースとなる機体を作って様々な用途にしっかり使うあたり、したたかなメーカーだなあと思う。

 

民間のエアロバティックチーム。

 いまだに3月以降に撮影に行けておらず、昔の写真を眺めるばかりの日々。

昨年のいまごろといえばオシュコシュエアベンチャーに行っていたころだなあと思いつつ、Aeroshell aerobatic teamってのがいたなあと思い出す。

 

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  1984年にAlan Henley氏とSteve Gustafson氏によってthe North American Aerobatic Teamとして設立、その後2001年にAeroshell aerobatic teamに名称を変更。

Aeroshellはロイヤル・ダッチ・シェル社の航空用ピストンエンジン、タービンエンジン用のオイル、潤滑油のブランド。

 HONDA GENERATORS(発電機)のスポンサーロゴもかなり大きいところは注目したい。

 

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  機種はT-6を使用しており、現在はMarkHenley氏(チームリード)、SteveGustafson氏(レフトウィング)、SteveGustafson氏(ライトウィング)、JimmyFordham氏(スロット、後尾機)の4名でフライト行っている。写真の通り、編隊飛行の展示を行っているチームだ。

 

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  日本ではまずお目にかかれない夜間の編隊飛行展示も行っており、非常に高い技量を感じることができる。もっとも、パイロットのフライト歴を見ると納得することができるのだが。

 

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  T-6自体が日本で飛ぶ姿を見るとは出来ないので、また見れることを願う。