滑子航空機,覚書

飛行機好きで、写真を撮ったり、プラモを作ったり。

南極観測船宗谷と船の科学館を見に行ってきた

 昨年末に船の科学館の建屋が取り壊されるというニュースがありました。

船の科学館は10年以上前から休館状態で、実は一度も訪れたことが無かった。

 

 そして同時に展示されているのが南極観測船宗谷。こちらはもちろん今後も展示されるため急いで見に行く必要もなかったのだが、船の科学館は建物の形が豪華客船をモチーフにされている非常に変わった建物であるため、取り壊し前に見てきました。

 

5U3A1376

 南極観測船宗谷。日本最初の南極観測船で、来歴がおもしろい。

もともとはソ連の商船として発注され建造がスタート。その後日中戦争激化にともない引き渡し拒否され、太平洋戦争中は旧日本海軍の特務艦として戦争に従事。最終的には南極観測船時代を含めて海上保安庁に所属することになった。

 南極観測船時代で83m程度と、昨年見に行った南極観測船ふじと比べてさらに小型の船となっている。

 

5U3A1415

 士官食堂。ふじと比べても手狭であることがはっきりとわかる。

 

5U3A1419

5U3A1434

 通路と士官用寝室。寝室はそこそこ広い。

 

5U3A1453

 冷蔵小出し庫。船倉の冷蔵庫から取り出したものを保存する冷蔵庫で、壁が非常に分厚いことに驚かされる。

 

5U3A1459

 8気筒ディーゼルエンジン。宗谷以降の南極観測船と異なり、完全にディーゼルエンジンのみで推進を行っているため、チャージングなど船を前後に動かす必要があるたびにエンジンを止める必要があったのだとか。

 

5U3A1482

 一般船員用の寝室。南極観測船ふじと異なり、部屋も区切られておりベッドもしっかりしたものである。これはもともと観測船としての用途で建造されたわけではないためでしょうが、壁で囲まれているため船が大きく傾斜した際もベッドから落ちる心配はなさそう。

 

5U3A1510

 通信室。

 

5U3A1526

 船橋。色合いはふじと同じような感じ。

 

5U3A1536

 後部甲板。S-58ヘリコプター2機にベル47ヘリコプター2機、さらに固定翼機も1機運用していた時代もあり、さすがに手狭であったろうことは想像に難くない。

なお、宗谷で運用されていたS-58に関しては、2/11にオープンするザ・ヒロサワ・シティ「ユメノバ」にて展示されるため、また行かなければならない。

 

 お次は船の科学館

5U3A1389

 すでに中に入ることはできないが、非常にユニークな建物であることがよくわかる。今後、このような建物が日本で建てられることがないと思うと、一度は目にしておいてほんとうによかったと思う。

 

 船の科学館自体は休館してはいるが、屋外展示物は見ることができるのでおもしろかったものをピックアップ。

 

IMG_8798

 半没水型双胴実験船「マリンエース」。双胴船で、下のふくらみ部分で浮力を確保するタイプ。

海面に接する船体の面積が小さいため波による浮力の変化が小さく揺れが小さく、

高速時の造波抵抗が小さいなど、客船としての高性能を期待され実験目的で建造。

 客船ではないですが、海上自衛隊の音響観測船も同じ構造の船型をしています。

 

IMG_8796

5U3A1559

 超電導電磁推進装置。以前神戸で展示されていたヤマト1に搭載されていたもの。

夢の超電導技術。実際はデメリットだらけであることが確認されて運用が終了。

 

5U3A1581

 海底ハウス「歩号一世」。実際に海底に設置された海底ハウス。宇宙船のように完全にこれ自体で完結したものではなく、陸上と空気パイプや電気・電話ケーブルで接続はされていたようです。

 

5U3A1589

 深海潜水艇 PC-18(模型)。模型なので、実物は建造されなかったのでしょう。

 

5U3A1588

 潜水調査船「たんかい」。潜水調査目的でつくられた球状船体の潜水艇。かわいい。

7か所のジェットノズルで移動と姿勢制御を行うとのこと。

調べた限りでは、実際に運用された記録はなさそう。

 

 というわけで、南極観測船宗谷と船の科学館に行ってきました。

船の科学館の屋外展示を眺めていると、いろいろな試験用の船が民間の手によって開発されており、なんだか今の日本にはない勢いを感じることができました。