滑子航空機,覚書

飛行機好きで、写真を撮ったり、プラモを作ったり。

787大移動イベント@セントレア

 大移動って書くとなんだか民族でも大移動してきそうな勢いだが、そういうわけではない。なんでも、日本国内で787クラスの航空機が一般路を渡って移動するのが初めてなんだそうだ。

 

 というわけで、行ってきました787初号機ZA001大移動イベント。

 2015年にセントレアに飛来して以来、一度として公開イベントのなかった787初号機だが、現在建設中のFLIGHT OF DREAMSに収めるために搬入をかねてようやく、そして最初で最後の屋外一般お披露目イベントがおこなわれた。

 現在787は日本で99機が就航しており、この初号機が100機目にあたるとか言っていたが、どの段階での100機目なのかは聞きそびれてしまった。

 

Boeing 787 ZA001

 寒空のなか、じわじわトーイングされる787。真正面からのショットでも撮れないものかと思ったが、それはプレスの特権だ。

 この角度になっているということは撮れるんじゃないかと思われるかもしれないが、それはそれで最前列の人じゃないと撮れないのである。空を飛んでくれるとみんなニコニコなんだが、地上展示だとこればかりは仕方ない。

 

Boeing 787 ZA001 and 747LCF

 当日は747LCFもイベント側に向けて駐機されており、写真のような親子(?)の共演も写真に収めることができた。

 

Boeing 787 ZA001

  この角度の787は見たことあるなあと思ったら、伊丹空港の水門からのショットと似ている。

 前部ドアの上部には"EXPERIMENTAL"の文字があり、この機体がEXPERIMENTALカテゴリーで登録されていたことがわかる(なお、登録番号N787BAはすでにボーイング社によって新規に予約登録されている)。

 

Boeing 787 ZA001

  事前にアナウンスされていたとおり移動をいったん停止し、機体を間近で見ることができた。

 初号機特有のおもしろいところはないかと思ったが、ぱっとみて気づいたのは危険な試験のひとつであるVmu試験のクッション取り付け金具が尾部に残っていたところと、静圧コーンをつけるために垂直尾翼端の形状が少し違ったくらいか。

 

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 "白いテープが残っているあたりに取り付け金具がある"

 

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 "翼端に追加されている静圧コーン取り付け部"

 

 自分は気づかなかったのだが、上空からの写真を見るとけっこう主翼上面の塗装がはがれているようで、2年半におよぶ潮風に吹かれての駐機はかなり堪えたようだ。

 また、この機体が試験機であることも関係しているのだが、現在機内はすっからかんになっているそうだ。それを聞くと機内を見る機会も作ってくれればよかったなあと思う。

 

 この後、機体は施設内に収められるために一般道を移動することになるのだが(そしてこれがこのイベントの見どころである)、そこはそれほど興味もないため747LCFの離陸をおさえるために展望デッキへ。

 

747LCF "DREAM LIFTER"

747LCF "DREAM LIFTER"

   風は強かったが、待ったかいあり。

 

 岐阜の"岐阜かかみがはら航空宇宙博物館"、名古屋空港の"あいち航空ミュージアム"、"MRJミュージアム"に続く大型航空機展示施設(すまん航空館boon・・・)として中部地区に誕生するFLIGHT OF DREAMS。

 FLIGHT OF DREAMSではチームラボが展示のプロデュースをしていたり、シアトルをコンセプトにした商業エリアができるそうだ。シアトルといえばやはりスタバとクラムチャウダーだろうか。

 

 正直、飛行機の展示に対してそういうことは求めていないので期待はあまりしていないが、まあできたらできたですぐにほいほい行ってしまうのだろうなあと思いつつ、来年8月のオープンを楽しみに待つ。

 

遊就館で彗星を見てきた

 彗星が展示されている大ホールの撮影が可能になったこともあり、二回目ですが遊就館を訪れました。

 

三菱A6M5零式艦上戦闘機52型

  看板たる零戦はもちろん健在。この零戦は河口湖の博物館で復元された零戦のひとつだ。

 

海軍航空技術廠 D4Y1 彗星11型

  そして彗星。この彗星は1980年に日本テレビで放映された木曜スペシャルのために復元されたもの。

 飛燕と同じアツタエンジンを搭載しているが、胴体に爆弾を収納可能な爆撃機ということもあり、飛燕よりがっしりした印象を受ける。

 

海軍航空技術廠 D4Y1 彗星11型

  テレビ番組で旧軍機レストアの企画があるというのは、今だととても考えられないと思う。零戦が飛ぶだけで、展示するだけでやいのやいの言われる世知辛い世の中だからなあ。

 

海軍航空技術廠 D4Y1 彗星11型

  屋内展示のため機体の状態はとてもよい。液冷エンジン搭載形状での復元機は世界で唯一であり、よくぞ復元してくれたなあと後から生まれた者としては思うわけです。

 

MYY-7 桜花

  こちらはレプリカの桜花。誘導装置を安易に人間に置き換えた空対艦ミサイルみたいなもんだ。簡易なグライダーとして、この形状は結構好きですけどね。

 

九七式中戦車 チハ

  ついでにチハ。

 ちなみに、訪れたのは土曜日でしたが意外と来観客が多くて驚いた。

 

あいち航空ミュージアムに行ってきた

 さて、先月11月30日にオープンした「あいち航空ミュージアム」に早速行ってきました。オープン当日はMRJ 5号機がエプロンで展示されたりと一部で大盛り上がりだったようですが、そんな貴族みたいな生活はしていないのでオープン最初の週末に行ってきました。

 

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 まず初めに我々を迎えてくれるのは、あいち航空ミュージアムのゲートガード的存在となっているRockwell Commander 112。水平尾翼の位置が特徴的だ。

 

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 そのまましばらく歩くと見えてきます。バス停がマーシャラーになっており、空港を意識したデザインは来館者の期待を高めます。

 

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 そして2階の入り口へ。ここでも空港カウンターを模したデザインとなっており、ミュージアムの入り口はDEPARTURES GATEとなっている。

 ここではなぜか黒澤レインボーカラーのMD-90がずらりと並んでいる。なお、自分は見たことが一度もないので全くもって思い入れはない。

 

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 チケットも搭乗券/Boarding Passとなっており、入場時はいざ搭乗へ!といった感じ。「入場まで大切にご携帯ください」の文字にはちょっと笑ってしまった。

 

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 写真のように、館内では展示機を上から見ることもできる。

 各飛行機にはタラップが設置されており、ドアも開いていたためてっきり中も見れるものかと思ったのだが、そんなことはないので注意が必要だ。

 

 あいち航空ミュージアムはオープン時で、

YS-11

・MU-2

・MU-300

・MH2000 ×2

零戦52型

・名工フライヤー

の計6機種が展示されており、全体的に三菱開発の機種で固められている。

 これといって目玉がないような気もするが、男はだまって幻の名機(?)MH2000だろう。

 

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 MH2000

 初めてその姿を見たが、一見するとS-76やUH-60あたりの面影がある。それも当然で、三菱はMH2000の前身となるRP-1の開発時に、S-76をわざわざ購入しているほどだ。ちなみに、個人的には「なまず」っぽいなあと思っている。

 ざっと見た感じだとドクターヘリにするにはBK117やMD Explorerにあるような観音扉の後部ハッチもないため担架が載せづらそうだし、機体規模の割には乗客も最大8人しか載せられなかったりと、旅客スペースは必ずしも大きくはないようだ。また、試作機が1機墜落事故を起こしている。

 そんなわけで、わざわざ新しいこの機種を買おうとはなかなか思わない、というのが正直なところではないだろうか。試作2機を含めて7機で生産が終了している。

 

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 あとおもしろいのは、以前三菱名航資料館にあった零戦だろう。

 ここでは当時の製造現場を模した展示となっている。1機しかないため物足りない感じもあるが、各型合計で1万機以上も製造された航空機であるため、当時は工場にずらりと並んだより壮観な眺めであっただろうことを想像させる。

(ちなみに製造は三菱ではなく、中島飛行機によるものの方が多い)

 

 1階の展示スペースに限って言えばかなり簡易な展示の仕方であると感じたが、今後MRJの飛行試験機が展示される計画もあるため、それにあわせてリニューアルのしやすいレイアウトにしているのだろう。

 ただ展示スペースはそれほど大きくはないため、MRJを入れるとこれ以上の展示機の増加は難しいのかなとも思う。

 

 屋上は展望デッキとなっており、撮影にはもってこいの環境であることを付け加えておく。

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 空港展望デッキと比較してもより滑走路に近づいた場所である上に、写真のように背景に住宅街をからめることができるようになったのもうれしいポイントだ。

 

 次はここでMRJを撮影したいとの思いを強くし、ミュージアムを後にしました。 

 

けもフレ痛飛行機を見にいく@あいち航空ミュージアム

 11月30日に開館したばかりのあいち航空ミュージアムに行ってきました。

とはいえ、そちらの話は次回に書くとして、ひとまず今回はけもフレ痛飛行機について載せておく。

 これは、元イーグルドライバーである"空飛ぶたぬき氏"による「日本の空をもっと楽しく」という思いでスタートした痛飛行機プロジェクトの第二弾。

 第一弾はこちらで記事にしているが、今回は近くで見る機会があったので見てきたというわけだ。

 

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  機体は前回と同じパイパー社のPA-46 Malibuで与圧キャビンを持つ高性能小型機。初飛行は1979年と比較的古い機種だが、現在でも年間60~70機ほど生産されている。

 小型機を近くで見る機会もなかなかなく、旅客機のように乗る機会もないので、この手の小型機の撮影としてもまたとないチャンスだ。

 

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  今回も左右で異なるラッピングがされている。またひとつひとつのイラストも細かいため、少し距離があるだけで撮影する側からすると苦しい。そのため、このような近くで見る機会があることは大変うれしい。

 

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  こういう隠し要素的なキャラクターは、天草エアラインくまモンを思い出す。

 

Remove Before Flight

  細かいところにもこだわりがあると、見ている側も楽しくなる。

 

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 撮影ブース?

 

 最近は、ブルーインパルスウイスキーパパ、そしてレッドブルエアレーサー・室屋氏によるアクロバット飛行が有名になっており、空に興味を持った人が増えているのではないか思う。

 しかし、このような今までとは全く異なるアプローチによる「日本の空をもっと楽しく」というプロジェクトは、より日本の空を身近にすることができるのではないだろうか。アクロバット飛行は「すごい!」のだが、こちらは「楽しい!」につながると感じた。いわゆるポケモンジェットと同じ寸法だ。

 

 このプロジェクトは営利目的ではないため、必要経費はクラウドファンディングによるものと、残りは手弁当となっている。プロジェクトのホームページを見ると、機体運航に270万円ほど、その他ラッピング費用や格納庫使用料を合計すると360万円ほどかかっているようだ。

 だからというわけではないが、グッズを少しばかり購入した。製作費の方が高いのではないかと感じるほど、グッズのクオリティも高い。

 

 このプロジェクトは12/3の展示をもって終了しているが、すでに第3弾が企画されているそうだ。次のプロジェクトも期待せずにはいられない。

 

岐阜基地航空祭2017 その3

 最後は地上展示されていた吊るしものの紹介。

XASM-3

 XASM-3-E

 現在開発中の空対艦ミサイルで、その飛翔速度はマッハ3を超えるそうだ。

形状にはステルス性が取り入れられており、レーダー吸収材も使われているという。

E型がどのような仕様なのかはよくわからない。

 

AAM-5

AAM-5

 AAM-5

 国産の最新空対空ミサイルで、写真からわかるように推力偏向ベーンがついており、機動性の高いミサイルだそうだ。

 

AAM-3型カメラポッド

 AAM-3型カメラポッド

  翼端に装着し、翼下に吊るしたミサイルや爆弾の発射・投下時の挙動確認するために使われている。

 

新型水上標的 JAQ-1

  新型水上標的 JAQ-1

新型と名前にあるけど、すでに配備から30年以上経過している。

 

その他

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  そして最後にT-4を。今回はめずらしいことに、ブルーインパルスを除くと1機もT-4が飛ぶことがなかった。なお、写真の試作2号機は初見でした。

 

岐阜基地航空祭2017 その2

 次は飛行展示の話を。まずは天候偵察。

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  今年はT-7一機のみの天候偵察。この時点の天候は"良好"だった。

 

 さて、今年一番見たかったといってもいいのがこちら。

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  デジタル迷彩のF-4。

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 大戦期を思わせる配色で、前縁には黄色の縁取り(当時の敵味方識別帯)までほどこされている。

 というのも、今年は各務原飛行場開設100周年になるそうで、飛実団の掲げる「空の勝利は技術にあり。」という信念のもと、過去の功績に学び、技術を伝承するという意思の上での塗装だそうだ。日本じゃ見ない配色の迷彩だなあとか思ったけど、RF-4は迷彩だった。

 話によると、この機体は退役までこの塗装で飛ばす予定とのこと。いよいよF-4(こいつに至っては"改"ですらない!)もF-35Aと交代だもんな。

 

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  タッチ&ゴーのあとの超低空離陸飛行が迫力満点だったC-130。残念ながら最前列にはいなかったので写真は撮れなかったが。

 

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  4年ぶりに登場のブルーインパルス。天候がよくないこともあり、編隊航過飛行がほとんどだったが、会場では大きな盛り上がりを見せた。

 

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 レッドブルエアレーサーである室屋氏によるアクロバット飛行は少雨の中決行。

 いつみても飛行機とは思えない挙動には度肝を抜かれる。

 

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  異機種編隊飛行のために離陸するC-1FTB。

 残念ながら、天候不順のため編隊飛行はF-2F-15各一機の合計3機によるものだった。

 

 今年の展示飛行は、1フライトごとにインターバルが30分あったりと、間延びした印象を受けてしまった。また、C-2の試験飛行のようなサプライズ飛行もなかったため、あっさりしているなあと感じた。

 

 フライト編はここまでにして、最後は地上展示されていた兵装をちょこっと紹介する。つづく。

 

岐阜基地航空祭2017 その1

 今年も行ってきました岐阜基地航空祭。天気が心配されましたが、結果的には朝はそこそこ晴れて、昼頃からは雨が降ったりやんだり。

 前日にフライト情報が発表されたが、グライダーの飛行展示がなくなったりと全体的に"あっさり"した航空祭であった。昨年の"こってり"した航空祭と比較すると物足りなさも感じたが、ブルーインパルスの影響もあってか入場者数は昨年の2倍となる13万人であったそうな。

 

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 ひとまずX-2。今年は真横を向けて展示されていた。そのため、 昨年は見れなかった偏向パドルまでじっくり見ることができた。

 

X-2 thrust vectoring paddle

 いたるところからステルス性を考慮した形状を見て取れる。また、パドルには何かの計測用と思われる線が設置されている。

 

 とにかく、ようやく"まともに"標準ピトー管のついていないX-2を撮影することができた。これで、3形態(標準ピトー管あり、なし、標準ピトー管+スピンシュートつき)をすべて撮ることができた。

 おもしろいのは、試験最終フライトでは標準ピトー管つきだったはずが今回は外された状態で展示されていたこと。最終フライト後は解体されるなんていう噂もあったが、さすがにないんじゃないかな。そんなもったいないことしないでしょう。

 

 昨年と同じように、朝一でX-2を拝んだ後は南会場に移動。まずはグライダーの展示を見に行った。

 

Glaser Dirks DG-505

 Glaser Dirks DG-505。

複座の練習機だがタイヤを格納することができ、滑空比は40とかなり高性能なグライダーだ。日本には何機くらい輸入されているのだろうか。

 ちなみに、ほぼ同型機でありモグラ版のDG-500MはPerlanⅠとしてグライダーの最高高度記録15,460mを保持していた(過去形/現在は成層圏を目指しているPerlanⅡが高度記録ホルダーとなっている)。

 

Mitsubishi T-2

 三菱T-2。

今年から常設展示機として設置されたそうだ。ブルーインパルス塗装とグレー一色の塗装は見たことがあったのだが、このオレンジ塗装機は見たことがなかった。

 この機体T-2最終退役機であり、さらにF-1支援戦闘機の試作機として改修された特別仕様機でもある、かなりめずらしいT-2なのだ。

 

 さて、今年は零式三座水上偵察機も間近で見ることができたが、それは追ってまとめるとしてその2につづく。