ひと月ほど前になるが、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館で開催されていた研三の特別展の話でも。展示されていたものとしてはそれほどでもなく、研三用のメタノール噴射装置と、試験用の単気筒エンジンの一部。あとはパネル展示がメインといったところ。
こちらはメタノール噴射装置。気筒内でメタノールが気化させることで圧縮空気の温度を下げ、自己着火による異常燃焼を防ぐことを目的としている。研三で使用したエンジン(DB601A)には機械式過給機(スーパーチャージャー)を装備しており、その効果を高めることを目的としていたといえる。
研三の特徴といえば、胴体横に搭載されたラジエータ/オイルクーラ。機体から大きく張り出したラジエータはそのまま機体の抵抗につながるため、極力押し込めることに努めたようだ。
リノエアレースに出場しているレース用に改造された大戦機(854km/h)や、当時の速度記録機であるMe209(756km/h)なんかに投入されている技術と比較すると、研三は日本が持てる技術(エンジンは輸入だけど)でやれる範囲でやってみた、という印象が強い。
記録飛行時に撮影された映像が流されていたのだが、フライト後にパイロットに駆け寄るエンジニアの笑顔が最高だ。