滑子航空機,覚書

飛行機好きで、写真を撮ったり、プラモを作ったり。

飛行機設計50年の回想

前から欲しかったけど、最近ネットで探すと普通に新品が売っていたので購入。

 

飛行機設計50年の回想

酣燈社

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著者の土井武夫氏は飛燕の設計を行ったことや、YS-11の土井のくさびが有名だろうか。

戦前、戦中、戦後の航空機開発にたずさわった設計者で、その内容は非常に濃い。

とにかく多くの写真や図、数式を用いて理論的な説明がなされており、それだけで資料的価値が高い。

 

戦前の航空機開発では、桁構造の変遷がみれたり、飛行機の進歩の歴史がわかると同時に、当時の飛行機開発の状況を知ることができる点がよい。

まさか、機体の荷重試験をせずに飛ばしているとは思わなかった。乗る方はたまったもんじゃないだろう。

あと、印象的だったのが、試作機として修正を加えた飛行機を何機も制作し、少しずつ技術の蓄積をしているところ。いまだったら、試作1機目から飛行試験機となるから、それだけ、机上でどこまで詰められるかが勝負になってるのだろう。

 

戦中の機体だと九九式双発軽爆撃機と二式戦闘機の関係とキ-102の開発の流れとか、

飛燕の主翼胴体結合部の、重心位置変更時に簡易に対応できるようにしている工夫とか、おもわずうなってしまう話が多い。

ひとつひとつの細かい事例は、設計者でしか知りえない話なので、非常におもしろい本だった。

 

最後に少しでてくる、P-2Jの後継機として開発中だったGK520。

三面図が載ってるけど、どことなくP-1に似ているのは気のせいか。