80年代以降は国内で開発された航空機が少ない。
見ての通り、T-2CCVや飛鳥などの実験機を含めてもこの程度の数しか開発が行われていない。しかも0からの開発は本当に少なく、T-4からP-1までの間、日本独自の完全新規開発には長い空白の期間がある。戦後の航空禁止期間なんて目じゃない。
ここでだけ実験機を含めると、これまでにもX-1やUF-XS、P-2Jなども入れる必要がでてくるの気がするのだが、都合よくそっと横に置いておく。
また、表には載せていないがM-02/02J:通称メーヴェをはじめとした開発機はあるため、今回は表にある4社に絞った内容としたい。
少ないとはいえ、すべては紹介しきれないのでいくつかピックアップして紹介する。
まずはT-2CCV。運動能力向上の実験機としてT-2をベースに開発された。
初飛行時のおっかない離陸はYouTubeなどの動画サイトで検索するとでてくるのでおもしろい。同時に、テストパイロットの判断の速さと適切な処理がわかる。
また、 この機体を開発していたおかげで、F-2のフライ・バイ・ワイヤシステムの国内開発につながったといわれている。
現在は、かかみがはら航空宇宙科学博物館に収蔵されている。
T-4。ブルーインパルスでもおなじみのジェット練習機。岐阜基地に行くと写真のような一角獣仕様を見ることができる。撮影する角度によって表情が大きく変わるので撮影していても楽しい機種だ。
開発開始から初飛行までの期間も短く、開発そのものは比較的順調だったと想像できる。おそらく、T-4の主任設計クラスは戦中世代から直接設計の教えを受けた世代が担っていたのだろう。
ただし開発当時の話を聞くと、引退間近の設計者もかき集めて設計にのぞんでいたらしく、当時でも後任となれる設計者はあまり育っていなかったのではないだろうか。
F-2。F-16の改良開発といえるが、対艦番長ともいえるコンセプトを持つF-2の仕様は、F-16のそれと大きく異なる。とはいえ、F-16もすでに当初のローコスト戦闘機としてのコンセプトからそれているが。
またF-16をベースとした開発は台湾や韓国でも行われており、事情はいろいろあれど比較してみると面白いかもしれない。
US-2。US-1Aの改造開発機で、与圧キャビン化を含めた様々な性能向上が行われた。消防仕様だのあれこれ言われていたけど、まだ開発しているのだろうか。
P-1。P-3Cの後継機として開発された哨戒機。哨戒時の低速性能を満たすためだろうか、真下から見ると主翼がかなり大きいことがわかる。
ターボプロップからジェットへと飛行速度が上がった分(そして、搭載機器の性能が上がった分)P-3Cと比較して配備予定機数は削減されている。
C-2。C-1から大幅に性能向上した、国内開発ではもっともサイズが大きい航空機。開発が難航していたが、今年3月にようやく開発完了が宣言された。
そしてMRJとX-2は以前の記事をペタッと張り付けて手を抜いてみる。
さて、なんとか戦後国産機を追ってみたが、戦前と比較するとその数の少ないことと言ったらない。しかし表を見ればわかるのだが、ここ十年ほどは戦後の中でも独自の航空機開発をかなり密に行っている時代なのである。
なので、この状況が振出しに戻らないためにも、度重なる開発延期に簡単に至ってしまう現在の開発状況に悲観せず、さらなる開発につなげることが重要であるといえる。
同時に、固定翼の民間機(MRJ)の開発はMU-300以来(!)となるので型式証明取得に関する経験が潰えないようにしたい。